Japanese School in Germany
こんにちは。ピイル めぐみ です。
息子の通っている日本人学校 補習授業校(略して補習校)も、3月で一学年が終了しました。
今回は、ドイツの日本人学校 補習校についてご紹介したいと思います。
日本人学校 補習授業校 とは
海外にある全日制の日本人学校とは別に、平日の放課後や週末に日本語の補習授業を行なう「日本人学校 補習授業校」(略して補習校)があります。
補習校は世界各国にあり、各学校によって授業時間や方針など少しずつ違うようですが、息子の通っているところは週に一回、四時間程度の授業があります。国語と算数を重点的に学習しながら、たまに社会や音楽、書道なども行っています。
教科書は日本と同じものを使っていて、日本で週に5日間かけて勉強している内容を、補習校では週一回で勉強します。このように全日制の学校に比べると授業数が圧倒的に少ないので、急ぎ足でポイントを絞っての学習になります。
通っている児童生徒について
補習校に通っている児童生徒のほとんどは、普段はドイツの現地校に通っています。インターナショナルスクールに通っている生徒も少数いますが、ほとんどの児童生徒が普段の学校生活ではドイツ語で過ごしているため、第一言語はドイツ語というケースが多い状況。
ドイツの現地校も、補習校の日本語授業も、年齢が上がるにつれて勉強内容は高度になり、使う単語や表現も高度になってきます。
しかしながら、実際のところ二言語ともレベルを上げていくことは本当に大変だと実感する毎日です。
実際の日本語レベル
子供のドイツ語レベルについては、毎日 現地校に通ってクラスメートや先生とドイツ話で話しているし、普段の会話もドイツ語がメインなので、年齢相応にレベルは上がっていきます。
その一方で、日本語は家庭でしか使わない言語。我が家を例にすると、父親と子供はドイツ語、母親(私)と子供は日本語、夫婦間はドイツ語という具合で、家庭内でも日本語よりドイツ語の割合が多め。また、子供が成長するにつれて家にいる時間が短くなり、やはり日本語に触れる絶対量が少ないというのが実情です。
こういった状況の中で、どうやって日本語を習得していくかは大きな課題です。我が家の場合、家庭内だけで子供に日本語を身に着けさせるのは到底無理だと判断して、4歳のころから補習校へ通わせる道を選び、現在に至っています。
※日本語を習得する方法と選択肢については、改めて記事にしたいと思います。
宿題も出される
ドイツ国内にある補習校の数は15校と聞いていますが、各学校によって方針が異なるようで、宿題が多い学校もあれば、割とゆるやかに学習を進めている学校もあるようです。
息子の通う補習校では、幼稚園児から小学生そして中学3年生までのクラスがあり、どの学年も宿題が出されます。子供たちは週に一回補習校で学習し、次の授業日までの一週間分の宿題をもらって帰ってきます。
この宿題の量は決して少なくないので、家で毎日コツコツこなす必要があります。優秀な生徒なら数日で済ませてしまうかもしれませんが、通常はほぼ毎日宿題と向き合います。
宿題の量を時間に換算すると、一日当たり30~60分くらいを週5-6日といえば分かりやすいでしょうか。
現地校の宿題がある上に、もう一つ余分に日本語の宿題もあるため、当然、子供にとって負担といえます。現地校に通っているドイツ人クラスメートに比べて約2倍の量を勉強していることになるので、ドイツ人の先生やドイツ人父兄から「そんなに勉強させて子供がかわいそうだ」と言われることもあります。
しかし、ドイツの小学校はだいたい午前中で学校の授業が終わり、宿題もあまり多くないので、日本の学校教育を受けてきた私の目には、ドイツの小学生は勉強に費やす時間が少なく映ります。
モチベーションをキープするには
補習校で出される宿題の量もさることながら、その内容も子供にとって簡単ではないので、親のサポートは必須です。
宿題などしたくない子供をなだめすかして教材を広げさせ、叱咤激励し、ときには喧嘩して子供を泣かせてしまうこともありました。
たかが宿題で子供を泣かすほど親子でストレスを溜める、そんな価値はあるのだろうか、いっそのこと補習校をやめてしまったほうが親子で衝突もせず楽になるのでは……と思うことが何度もありました。
そんなとき、他のお母さん方や先輩父兄も同じ道を通ってきたと聞いて、もう少し頑張ってみようと思うのでした。このように、サポートする親も時間と忍耐力、そして継続していく努力が必要とされることを、ひしひしと実感します。
こうして連ねてみると苦労ばかりのように聞こえると思いますが、我が家の場合、子供が補習校を辞めたいと言ったことは今のところ一回もありません。宿題が多いのに、日本語の勉強を続けられているのは不思議といえば不思議です。
大変なのに続けてこられた理由はズバリ、モチベーションがあるからだと思います。
モチベーションの源は何かというと、日本のことが好きという気持ち。息子も、そして補習校のクラスメートも、みんな日本が大好きです。
日本はおいしいものがいっぱいあるし、日本のおじいちゃんやおばあちゃんは時々しか会えない自分を可愛がってくれるし、周りのみんなが親切にしてくれるから、日本へ行くのがとても楽しみ。
そういうわけで、毎日の宿題は大変ながらも、日本語を続けようという気持ちが途切れないのだと思います。
またモチベーションとは別に、母親の私が息子に日本語を話して欲しいという願いがあり、それを息子が汲み取ってくれている部分もあるでしょう。
一年間の勉強量
補習校での勉強量を実物で表すと、下の写真のようになります。
これで一年分。左側は一年間でこなしたプリントの束とノート。右側が使用した教科書。
こうやって学期末に一年分を束ねてみると、その量が目で見てわかるので、子供と一緒になって達成感を味わいます。今年も一年間、本当によく頑張りました。
毎週もらってくる宿題の内容は、きめ細かくバリエーションも豊かで、補習校のカリキュラムはよく練られていると感心します。もしも私ひとりで息子に日本語を教えていたとしたら、途中で挫折していたでしょう。
どんなに素晴らしい学校であれ教材であれ、一長一短あり、賛否両論あるのが普通だと思いますが、補習校に関して私の個人的な印象は、先生方も労力を惜しまず熱心に指導してくださっているので、とても感謝して子供を通わせています。こうして海外でも日本語教育を受ける場があることは、本当にありがたいことです。
とはいえ、日本人学校や補習校のない国や地域に住んでいる方々も多く、そういった地域では通信教育の教材を使って家庭学習するなど、継続的に努力をしていらっしゃる様子を知るたび、本当に頭が下がります。
将来、子供にとって日本語が役立つ日が来るかどうかは分かりませんが、日本語の学習を通して、日本の文化や日本人のあり方を少しでも身に着けてきたことは、本人にとってかけがえのない財産になっているのではないかと思います。