こんにちは。ピイル めぐみ です。
①デング熱に一人旅の途中でかかってしまった の続きをお送りします。
一年以上にわたる旅での疲れを タイの静かな島でほぐした後、 また旅を続けるためにバンコクへと戻った直後に 体調が悪くなった。
その症状は
極度の疲労、高熱、頭痛、腹痛、関節痛、目の痛み、下痢、嘔吐 そして 体中にできた皮下出血。
初めてかかった未知の病気に困惑し、フラフラな状態で病院へ行って出された診断は「デング熱」。
その場で入院するべきところを、宿に残してきた自分の荷物のことが気にかかり、一人でまた宿に戻る。
処方された薬を服用するものの症状は快方に向かわず、 水を飲んだだけで嘔吐が続き、体はどんどん痩せて 力がなくなっていく。 何とか栄養を摂らなければと思い、牛乳を飲んだら さらに体調が悪化。
デング熱と判明して以来、処方薬を飲んでいることで気分的には楽になったけれど、体は楽にならず、回復のきざしがみえないことに また心配が募ってきた。 すっかり弱っている私の体。
一体 何をしたら良くなるのだろう? 薬を飲んでいるのに、一向に回復のきざしが見えない。
このままの状態が続くなら、また病院へ行くしかない……。
でも、完全に体が動けなくなるまで衰弱してしまっては マズイ。
しんどくても、動ける力が残っている間に動いて、少しでも栄養になりそうなものを探そう。
そんな思いを胸に宿の近くにある屋台へヨロヨロ歩いて行く。
タイの屋台には、食べても食べなくても
「イスに腰掛けていいよ」 と勧めてくれる気やすい おばちゃんがいる。
まったく食欲がない私は、道端にある屋台のイスに腰掛けて、少しの間 地元の人々が食べている様子を見る。
「スープなら、飲めるかな? 試してみよう」と思い立ち、注文してみる。
その屋台のおばちゃんは、やつれ切って青い顔をした私に、野菜だけで作ったスープを作って テーブルに置いてくれる。
私の胃は 野菜など固形物を食べられる状態ではなかったので、 スープだけをスプーンですくって、少し すすってみる。
じーーーーーーーんわり。
酸味のきいた透明のスープが体に吸収されていくのが分かる。
おかゆも 牛乳も、水さえも 嘔吐していたのに、このスープは体が吸収している!
これは、唐辛子やココナッツミルクを入れていない野菜だけのトムヤム スープ。
ボロボロに弱った病人(私)の体にトムヤムが合うなんて!!
スープを ひとさじずつ ゆっくり飲むたびに、内臓が動き始めた。胃から 体の隅々に向けて、栄養が巡っていくのが ありありと分かる。
一切の動きをシャットダウンして、何も受け付けなかった私の体が、今ようやく動き出し、受け入れ始めたのだ。
どうやら、このトムヤムスープに入っているレモングラスや カフィルライムの葉を煮出したスープが 私の体に スーーーっと染みこんでいき、何よりの薬となり、滋養になった模様。 これを境に 症状は快方に向かった。
※ 後で知ったのは、デング熱の特効薬はなく、高熱を下げたり、水分補給の点滴を受けたりなど、
症状に合わせた対症療法になるようですが、かかってしまったら、医療機関での速やかな処置が
重要です。
その後、体の痛みが取れて 体力が戻るまでの2週間くらいを バンコクで静かに過ごし、デング熱の後遺症がほぼ治ったところで、また旅を続行。
タイでデング熱にかかって、 病人食は屋台のトムヤムスープというのは、ちょっと冗談みたいだけど、冗談ではなく 助かった。
「現地でかかった病気には、その土地で採れた物が助けてくれる」と 体で知った経験。
快適なはずのタイで、予想外の「デング熱」にかかり、一時は死の淵をさまよったけれど、土地の植物と 人々の好意に助けられ、自分の体をもって自然の叡智を知ることができたのは、苦しい中での 確かな喜びだった。
いつも誰かから、何かから、恩恵を受けて 生かされている命なのだと 改めて思います。
※この記事は、前編
①デング熱に一人旅の途中でかかってしまった
のつづきです。