Watermelon Seller
in Golden Triangle
LAOS

20年以上前、
タイのチェンマイに住んで
山岳民族に関わる仕事をしていた私は

タイ、ラオス、ミャンマー、
ベトナム、中国南部など

ゴールデントライアングル
(黄金の三角地帯)と呼ばれる
山深い地域の あちこちの村落へと 
一人で足しげく通っていました。



現地のバスを乗り継いで
ぐねぐねの山道を
トラックの荷台に揺られ

時には メコン川を舟に乗って
途中の村で宿泊して

車やバイクの通れない
山道を延々と歩いて

ようやく
目的の村落へ到着してみると


そこは
桃源郷のような美しい場所だった


そんなことが何度もありました。

その中から 今回は
ラオス奥地での一コマを
ご紹介します。



ラオス北部の
そのまた奥地に来てみると

辺り一帯は
とても閑散としていて

中国との国境近くは
道路は舗装されているものの
周囲に村はなく 


車は ほとんど通らず
人は まったく通らず
ひっそり静か。

そんな静まりかえった場所で
出会ったのが・・・・・・


 

道端でスイカを売る親子 in Laos

         


このときの私は
最寄りの村で借りた自転車に
乗って30分以上

自分以外に
ほとんど動くものがない中を
延々と進んできたところ

ポツンと 道端に座る
この親子が目に入る。

こんな所で
人に出くわすのも珍しいので

自転車から降りて 
あいさつがてら
話しかけに行きます。

女の子は
手に持っている小さな紙きれに
記号のような字を書き、

お父さんらしき男性は
隣で静かに座っています。

近くに寄って
話しかける私に

驚くでもなく
笑顔を向けるでもなく
迷惑そうでもなく

ただ こちらを見つめ
周りの静けさと一体になって
無口なまま過ごす二人。



感情の起伏がフラットで
反応があまりない二人

この二人から見て
私はどのように
映っているのだろう・・・・・・。



ちょっとした違和感を
覚えているのは
感じ取れるものの 

特に心を動かすことなく
表情も変わらない。



女の子の書いている字を
指差して質問を投げかけ

男性に
このスイカの山をどうするのか
尋ねてみるものの

やはり反応が ほとんどない。




この後 別れのあいさつをして
また自転車に乗って
先へと進んでいった私ですが、

この親子と過ごした
短いひとときは

時間や 世の中の動きが
止まったかのようでした。

こうして
普段の生活圏から
かけ離れた場所へ出向くたびに

自分が身につけてきた「常識」は
気持ちいいほど通用しない。


そんな経験は とても貴重で
出会えた 一人一人、
経験した一つ一つの場面に、
愛おしい気持ちが湧いてきます。

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